「仕事で外出しなければならないけど、子犬をひとりにしても大丈夫?」
「留守番させたらストレスにならないかな…」——そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
子犬の成長段階や性格によって、留守番できる時間には大きな差があります。
本記事では、子犬が安心してお留守番できる時間の目安や、準備すべき環境づくり、便利な見守りアイテム、少しずつ慣れさせるためのトレーニング方法までを徹底解説します。
1. 子犬に留守番をさせるのはいつから?

子犬の社会化期と留守番スタートの適齢期
子犬の「社会化期」と呼ばれる時期は、生後3週目から14週目ごろまでの限られた期間です。
この時期は、子犬の一生の中でも特に重要な成長のフェーズであり、さまざまな刺激や環境に対して順応しやすくなる貴重なタイミングだと言われています。たとえば、音・光・におい・人・他の動物など、日常生活で出会うさまざまな要素に触れることで、「これは怖くない」「これには慣れておいて大丈夫」といった安心感を身につけていきます。
この時期に適切な経験を積むことができるかどうかは、将来の性格や行動にも大きく影響します。社会化がうまく進めば、人見知りや物音への過剰な反応といったトラブルを未然に防ぐこともできるのです。
しかしながら、どんなに吸収力の高い時期とはいえ、生後2ヶ月未満の子犬に「長時間の留守番」をさせることは、やはり避けるべきです。まだトイレのしつけも不完全で、排泄間隔も非常に短いため、我慢ができず粗相をしてしまうこともありますし、何より飼い主がいないことによる「分離不安」を強く感じてしまうおそれがあります。
分離不安とは、飼い主の不在時に強いストレスを感じてしまう状態で、激しい鳴き声をあげたり、物を壊したりする行動に発展することもあります。最悪の場合、健康にも悪影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
そのため、子犬に留守番をさせ始めるタイミングとしては、生後2ヶ月以降を目安とし、まずは数分から数十分程度の短時間の外出からスタートするのが理想的です。外出してすぐに戻り、「また帰ってきてくれるんだ」という安心感を何度も体験させることで、子犬は少しずつ“ひとりの時間”にも慣れていくようになります。このように段階的に練習していくことが、将来の落ち着いた留守番生活への第一歩となるのです。
慣れるまでのステップを踏もう
子犬にとって、飼い主の不在は想像以上に大きな不安とストレスを伴うものです。特に、いきなり長時間ひとりにされることは、安心感や信頼関係がまだ築かれていない子犬にとって大きな試練となります。だからこそ、留守番には段階的なステップを踏んで慣れさせていくことが大切です。
最初のステップは、「飼い主がいなくなっても、必ず戻ってきてくれる」という安心感を子犬に伝えること。たとえば、まずは数分間だけ部屋を離れて戻る、という短い別れの練習から始めましょう。戻ってきたときには、笑顔で優しく声をかけてあげることで、子犬は「一人になっても大丈夫なんだ」と少しずつ学習していきます。
このような短時間の離脱と帰宅を繰り返すことで、子犬の中に“安心の記憶”が積み重なっていき、次第に留守番に対する不安感も薄れていきます。焦らず、一歩ずつステップを踏みながら進めることが、成功への近道です。
2. 月齢別|子犬が安心して留守番できる時間の目安

生後2〜3ヶ月:1〜2時間が限度
この時期の子犬は、まだ「赤ちゃん期」ともいえる非常に繊細な時期です。身体機能や精神面の発達が未熟なため、トイレの間隔も短く、飼い主の不在に対する不安を強く感じやすいのが特徴です。また、社会性や安心感を育む大切な時期でもあるため、長時間の孤独は避けるべきです。
留守番の時間は最大でも1〜2時間を目安にとどめましょう。それ以上になると、排泄の失敗やストレスによる体調不良、分離不安につながる可能性があります。
短時間の留守番から少しずつ慣らし、帰宅後にはたっぷりとスキンシップをとって「ひとりで頑張れたね」と愛情を伝えることが、信頼関係の構築にもつながります。
生後4〜5ヶ月:2〜3時間が目安
この時期の子犬は、トイレの間隔も徐々に安定しはじめ、自分の排泄をある程度コントロールできるようになってきます。そのため、留守番時間を少しずつ延ばしていくことが可能になります。
ただし、まだ外部からの刺激には敏感で、突然の音や光、人の気配などに驚いてストレスを感じやすい繊細な時期でもあります。環境への適応力は完全とはいえないため、長時間の留守番には依然として注意が必要です。
目安としては2〜3時間程度を上限にし、子犬の様子を見ながら少しずつステップアップしていきましょう。安心できるハウス環境を整えたり、留守番前後にたっぷりスキンシップの時間を取ることで、不安を和らげることができます。
生後6ヶ月以降:徐々に4時間以上も可に
この時期になると、子犬の社会化がある程度進み、飼い主との信頼関係も安定してくるため、心の成長が見られる段階に入ります。トイレの自制もさらに確立され、精神的にも落ち着きが出てくるため、4時間前後の留守番が可能になる子も増えてきます。
ただし、留守番の得意・不得意には個体差があるため、無理に時間を延ばすのではなく、子犬の様子をよく観察しながら段階的に慣らしていくことが大切です。不安な場合は、ペットカメラを活用してリアルタイムで様子を確認したり、吠えや不安行動の兆しがないかをチェックしながら環境を調整していきましょう。
適切な準備と丁寧なステップを重ねることで、子犬は少しずつ安心してひとりの時間を過ごせるようになります。
3. 留守番前にやっておきたい5つの準備

トイレの設置とトレーニング
子犬が安心して排泄できるように、トイレは静かで落ち着ける場所に設置しましょう。理想的なのは、寝床や食事スペースから十分に離れた位置です。これは犬の本能的な「清潔に保ちたい」という習性にも合致しており、トイレの成功率を高めることにつながります。
留守番中の失敗を防ぐには、事前のトイレトレーニングが不可欠です。成功したときはしっかり褒め、失敗しても叱らずに静かに片づけることが基本。そうした積み重ねが、「ここでしていいんだ」という理解を深め、自信を持って留守番できる環境を作ります。
安心できるハウス環境を整える
クレートやサークルは、子犬にとって安心して過ごせる“自分だけの安全地帯”。この空間が快適で落ち着ける場所になるよう、ふかふかのマットやいつも使っている毛布、お気に入りのおもちゃなどを入れてあげましょう。
また、静かな場所に設置することもポイントです。人の出入りが激しい場所や直射日光の当たる場所は避け、落ち着いて休める環境を整えることで、留守番中の不安やストレスを大きく軽減できます。
静かな音・明るさの調整
留守番中の子犬が孤独や不安を感じにくくするためには、環境の音や光の工夫が大切です。完全な無音状態はかえって不安をあおることがあるため、テレビやラジオを小さな音でつけておくと、生活音のような安心感を与えることができます。
また、日中であればカーテンを少し開けて自然光を取り入れることで、昼夜の感覚がつかみやすくなり、安心して過ごしやすくなります。暗すぎず、明るすぎない環境を意識することで、子犬の留守番中のストレスを軽減することができます。
おもちゃや知育グッズの準備
子犬が留守番中に退屈せず、ストレスを感じにくくするためには、噛んで遊べるおもちゃや知育グッズの活用が効果的です。特におすすめなのが、中におやつを詰められるコングや、少し頭を使わないと中身が取り出せない仕組みのおもちゃ。夢中になって遊ぶことで、孤独感や不安の軽減、問題行動の予防にもつながります。
おもちゃは安全性の高いものを選び、誤飲のリスクがないかを必ず確認してから与えるようにしましょう。また、定期的におもちゃを入れ替えることで、飽きずに楽しむことができます。
食事と排泄のタイミング調整
留守番直前の食事や排泄は、トラブルの原因になりやすいため避けましょう。外出の30分〜1時間前までに食事を済ませ、排泄もできるよう促しておくことが理想的です。これにより、留守中の嘔吐や下痢、トイレの失敗などのリスクを軽減できます。
また、毎日同じタイミングで食事や排泄を行うことで、生活リズムが整い、子犬の安心感にもつながります。特に月齢が低いうちは消化器官が未熟なため、食後の体調変化にも注意を払いましょう。
4. 子犬がひとりで過ごすときの注意点と工夫

不安を感じさせない声かけ
外出時に過剰なスキンシップや声かけをしてしまうと、子犬は「特別なことが起きる」と察知し、かえって不安や興奮を高めてしまいます。ポイントは“さりげなさ”。普段通りに振る舞い、そっと出かけることで「お留守番は特別なことではない」と学ばせることができます。
帰宅時も同様に、すぐに大げさに構うのではなく、まずは飼い主自身が落ち着いてから声をかけるのがコツ。「帰ってきた=また会えるんだ」という安心感を少しずつ積み重ねることが、分離不安の予防にもつながります。
ドアの開け閉め・外出動作への慣れ
鍵の開閉音や靴を履く動作、カバンを持つしぐさなど、日常の“外出の合図”に敏感な子犬は、「これからひとりにされる」と感じて不安を募らせることがあります。
これを防ぐためには、それらの動作を“留守番と結びつけない工夫”が大切です。
たとえば、玄関のドアを開けてまたすぐ閉める、靴を履いて家の中を歩くだけ、といった「外出しないけれど外出のような行動」を日常的に繰り返しておきましょう。そうすることで、“鍵の音=不安”という条件づけが緩和され、実際に留守番をさせるときの負担を減らすことができます。
5. 留守番中の見守りアイテムやカメラ活用法

ペットカメラの設置場所と使い方
ペットカメラは、留守中の子犬の様子を把握するための心強いアイテムです。設置場所は、子犬がよく過ごすスペース(クレートやベッドのあるエリアなど)を中心に、部屋全体が見渡せるように配置するのが理想的。死角ができないよう、角度調整が可能なカメラや広角レンズの機種を選ぶと安心です。
また、スマートフォンと連携できるタイプなら、外出先からでもリアルタイムで映像を確認でき、鳴き声や異常行動などにもすぐに対応できるメリットがあります。アプリ通知機能や、動きを検知するアラート付きの機種なら、より安心して見守ることができるでしょう。
録音メッセージ機能などの活用法
最近のペットカメラには、飼い主の声を録音・再生できる機能がついたものもあります。「お利口だね」「もうすぐ帰るよ」など、聞き慣れた声を届けることで子犬の不安をやわらげる効果が期待できます。
ただし、頻繁に声をかけすぎると「飼い主がいるのに姿が見えない」という矛盾から、かえって不安感を助長することもあるため要注意。留守番にある程度慣れてきた子に対して、適度なタイミングで短くやさしく声をかけるよう心がけましょう。
6. 留守番の練習は「短時間×徐々に」がカギ

5分→10分→30分…段階的に慣らす
最初のステップは、たった5分の外出からスタート。戻ってきたらすぐに笑顔で声をかけて褒めてあげましょう。これを繰り返すことで、「飼い主はちゃんと戻ってくるんだ」と安心感を持たせることができます。
慣れてきたら少しずつ留守番の時間を延ばしながらトレーニングを続けていきます。急に長時間留守番させるのではなく、子犬の不安に寄り添いながら“成功体験”を積ませることが大切です。焦らず、着実に自信を育てていきましょう。
「帰ってきたら褒める」の一貫性を持つ
子犬が静かにお留守番できたときは、たっぷりと褒めてあげることが成功へのカギです。帰宅後すぐに、優しく声をかけたり、撫でたり、一緒に遊んであげることで、「ひとりで頑張ったら、いいことがある」と学習していきます。
このポジティブな“成功体験”を積み重ねることが、次のお留守番への自信と安心感に繋がります。一貫して褒める姿勢を持つことで、子犬の心の安定にもつながっていきます。
7. 長時間留守番が必要な場合の代替案

ペットシッターや家族の協力
どうしても長時間の留守が必要なときは、子犬にとって安心できる存在のサポートを頼るのが理想的です。信頼できる家族や友人、またはプロのペットシッターに短時間でも訪問してもらうことで、トイレの世話や食事の提供、簡単な遊び相手になるなど、子犬の不安やストレスを大幅に軽減できます。
一人ぼっちの時間をできるだけ減らしてあげることが、子犬の心の安定と健やかな成長につながります。
一時預かり・犬の保育園の活用
最近では、子犬を数時間から預かってくれるペットホテルや、日中のケアを行う“犬の保育園”と呼ばれる施設も増えてきています。こうした場所ではプロのスタッフが見守る中で、他の犬や人とふれ合う貴重な社会化の機会も得られるため、精神面・行動面の成長にも良い影響を与えてくれます。
信頼できる施設を事前に見学・相談しておくことで、いざというときにも安心して預けられる環境が整います。
8. まとめ:子犬の留守番は無理なく少しずつ慣らそう

子犬にとって留守番は、「飼い主がいなくても安心して過ごせるようになる」ための大切な成長プロセスです。最初は不安が大きく、うまくいかない日もあるかもしれません。しかし、少しずつ離れる時間を伸ばし、戻ってきたときにはたっぷり褒めてあげる――そんな小さな成功体験の積み重ねが、自信と安心感につながっていきます。
「ひとりにするのがかわいそう」と不安に思う気持ちは自然ですが、大切なのは甘やかすことではなく、愛情をもって計画的に自立を促すことです。焦らず、段階的に、子犬のペースに寄り添いながら進めていけば、きっと立派にお留守番ができるようになります。
あなたの温かなサポートが、子犬の安心と成長につながる一歩になります。